訪問看護のアセスメント
「バイタルは正常」でも安心できない理由
訪問看護で大切なのは、処置の技術だけではありません。私が一番大切だと思っているのは、アセスメント力です。
今回は、前回の「電話の向こうの看護②」でかかわらせていただいた利用者様を看護師目線で書きたいと思います。
この出来事を通して、訪問看護のアセスメントの大切さを改めて感じました。
バイタルはいつも通り
ある利用者さんを訪問した時のことです。
バイタルは
・体温 36.8℃
・血圧 104/56
・脈拍 68
・SpO₂ 97%(酸素2.5L)
食事も完食しており、ご本人からの体調の訴えもありませんでした。一見すると、いつもと変わらない状態です。
それでも感じた違和感
ただ一つ、気になったことがありました。それは、咳の質です。
その方はもともと喘息があり、咳は日常的に出る方でした。しかしこの日は、いつもより湿った咳が出ていました。
さらに、
・同居家族がインフルエンザに罹患していた
・咳が続くと呼吸が苦しそうになる
この情報を合わせて考えた時、私は「このまま様子を見るのは危険かもしれない」と感じました。
救急搬送の判断
主治医に相談すると、
「ひだまりさんが入院を要請するなら、体調に変化があるのは間違いないと思います」と言ってくださいました。
その後、救急搬送となり、翌日の検査で心筋梗塞と重症肺炎が見つかりました。
アセスメントを支える仕組み
ひだまりでは昨年12月から、アセスメントを支える仕組みを備えた電子カルテ を導入しました。
呼吸・水分・代謝・循環などを、その場で整理しながら確認できるため、
「何となく気になる」を、根拠を持って判断する助けになります。
今回のケースでは、これまでの訪問の中で普段の状態を把握していたこともあり、訪問した時点で
「これは搬送が必要だ」と判断しました。
そして後から電子カルテのアセスメントの流れに当てはめてみると、やはり救急搬送が必要な状態に該当していました。
訪問看護では、経験の差が判断の差につながることがあります。
だからこそ私は、経験年数が浅い看護師さんでも、経験のある看護師と同じように考えられる仕組みが必要だと思っていました。
ベテランの勘だけに頼るのではなく、チーム全体で同じ視点を持ち、根拠を持って判断できること。
それが、利用者さんの安心にも、スタッフの安心にもつながると感じています。
訪問看護のアセスメント
訪問看護では、
・バイタルが正常・本人の訴えがない・食事も摂れている
それでも安心できないことがあります。
在宅では、
・咳の質・表情・家族の言葉・生活の変化
こうした小さなサインをつなげて、状態を判断していく必要があります。
そして今は、そこにアセスメントを支えてくれる仕組みも加わりました。
最後に
訪問看護の仕事は、私は処置ではなく判断だと思っています。
小さな違和感を大切にすること。そして、その違和感を見逃さないこと。
さらに、迷った時に根拠を確かめ、チームで共有できる仕組みを持つこと。
それが、利用者さんの命を守ることにつながります。
これからも、そんな看護を大切にしていきたいと思います。