電話の向こうの看護②
食事は完食、熱もない。それでも救急搬送を決めた理由
訪問看護をしていると、
「いつもと違う」と感じる瞬間があります。
それは、数値や症状としてははっきりしない
小さな違和感です。
今日は、その家族の感じた違和感と、訪問看護師への一本の電話が命を守った出来事について書きたいと思います。
ご家族からの電話
ある日、ご家族からこんな相談がありました。
「1週間くらい前から咳がひどくて… 昨夜は息が苦しくなるほど咳が出ていました」
ただ、この利用者さんはもともと気管支喘息があり、咳は日常的に出る方でした。
さらに
・食事は完食
・本人の訴えはない
・熱もない
ご家族も「いつもの咳なのか、異常なのか分からない」と迷っている様子でした。
それでも「ひだまりさんなら、こんなこと相談しても大丈夫かなと思って」と電話をしてくださいました。
訪問してみると
訪問した時、利用者さんは穏やかに横になっていました。
バイタルも
・体温 36.8℃
・血圧 104/56
・脈拍 68
・SpO₂ 97%(酸素2.5L)
いつもと変わらない状態でした。一見すると大きな問題はありません。
でも一度咳が始まると湿った咳がしばらく止まりません。
そして頭の中に浮かんだのが、次の3つでした。
・いつもと違う湿性咳嗽
・同居家族が1週間前にインフルエンザに罹患
・咳が続くと呼吸が苦しそう
その時、私はすぐに搬送が必要だと判断しました。
主治医の言葉
病院へ電話をすると、主治医がこう言ってくださいました。
「ひだまりさんが入院を要請するなら体調に変化があるのは間違いないと思います。救急車で受診してください。」
訪問看護の判断を信頼してくださっている言葉でした。
診断結果
翌日の検査で分かったのは心筋梗塞と重症肺炎でした。
・熱もない
・食事も食べている
・本人の訴えもない
それでも「いつもと違う」という違和感がありました。
訪問看護の仕事
訪問看護は、処置だけをする仕事ではありません。
利用者さんの
・表情
・咳の質
・生活の変化
・家族の言葉
そうした小さなサインをつなげて命を守る判断をする仕事です。
今回、ご家族は事業所まで来てくださり
「2回も助けていただいてありがとうございました」と言ってくださいました。
(1回目は1月に違う疾患で救急搬送された方でした)
最後に
この出来事の始まりはご家族の小さな相談でした。
「こんなこと相談していいのかな…」その電話がなければ発見は遅れていたかもしれません。
だからひだまりでは小さな相談こそ大切にしたいと思っています。
電話の向こうにも、看護があります。それが、ひだまりが大切にしている看護です。